PMFオーケストラ東京公演 ワレリー・ゲルギエフ指揮、PMFオーケストラ

PMFオーケストラ東京公演
2016.8.9(火)サントリーホール
ワレリー・ゲルギエフ指揮、PMFオーケストラ
VL:レオニダス・カヴァコス

聴いてきました。今回は指揮者を見たかったのでP席で。

 一曲目はメンデルスゾーン交響曲第4番「イタリア」。小ぶりな編成。爽やかで初々しい音がするオケ。弦は少々、芯のない軽い音に聴こえたけど、若々しさに溢れていてとても魅力的。いいよな若いって、と思いながら聴いたけれど、指揮者はこの軽やかな曲でも、常に唸り歌う様な声を発しておりました。ゲルギエフはほぼ手をヒラヒラさせている様な指揮ぶりで、主に音楽的なことに集中している印象。ビートなんかは刻まなくてもキチンと演奏できる優秀なオケって事ですね。3楽章ではキチンと三拍子の図形を描いているところがあって逆にちょっとびっくりしたけれど。

二曲目はブラームスのヴァイオリン協奏曲。カヴァコスはヨーロッパのオケとの共演の映像では見た事があったけど生で見るのは初めて。映像で見たロン毛髭面でラフなシャツを着ている怪しいオヤジという印象は、生で見ると知的で完璧な演奏をするクールなヴァイオリニストというイメージに変わってしまうから、あら不思議。この日の演奏も完璧で美しい演奏を聴かせていた(私のところからは、ホールに跳ね返ってきた音しか聴こえなかったのですが・・)。アンコールで弾いたバッハの無伴奏ソナタの緩徐楽章も美しかった。演奏後の長い沈黙の時に、あぁそうだ、今日はショスタコーヴィチの命日だったという事を思い出しました。

休憩後、ショスタコーヴィチの交響曲第8番。編成が拡大されて気がつくと、私の席はホルンのベルが直撃の模様。ホルンが強奏するとほぼ弦が吹っ飛ぶ凄い席だった。ショスタコになると、もう完全にゲルギエフワールドで、前半に聴こえたPMFっぽさはほぼ消え去り、彼が描くドラマティッックな音の世界に引きづりこまれてしまう。「見てごらんなさい。この暗い穴の中を。あなたは何が見えますか、絶望ですか?地獄ですか?幸福ですか?天国ですか?」と常に聴衆に問うてくる様な演奏とでも言ったら良いのだろうか。もう彼のつくり出す音楽は常人の域を完全に超えており、ただただ凄いとしか言いようがない。こんな音楽をつくったショスタコーヴィチも凄すぎるのだが。最後のハ長調の和音が極めて美しく響いていた(そしてそれが何故か意味ありげに聴こえる)。本当に長い沈黙のあと大きな拍手とブラボーの嵐。聴きに行ってよかった。だけど彼の描くショスタコーヴィチの音楽はなんだか恐ろしい。終演は10時というヨーロッパ時間的なコンサートのせいで帰宅は終電になってしまった。

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