サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団 指揮:ユーリ・テミルカーノフ

サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団
指揮:ユーリ・テミルカーノフ
2016年6月5日:文京シビック大ホール

 「シラザード」と「悲愴」という超名曲プログラム。前から2列目のA席。舞台にかぶりついての鑑賞でした。テミルカーノフの指揮は必要最小限の指示でスケールの大きなサウンドを引き出す少々マジカルな指揮術に見える。オケは弦楽器がとても美しくたっっぷり歌い良く鳴る。木管管楽器はバランスが良く響きも美しく透明。金管は音程が正確でかつパワフル。というと非の打ち所のない演奏に聞こえるが、ちょとそうでもなかったのがこの日の演奏。「シラザード」の出だしからいきなり弦とホルンがずれていて思わず指揮者もホルンの方を振り返るぐらい。2列目席で2ndヴァイオリンの真ん前だったので、2ndの前と後ろの音のズレがわかりすぎるくらい判る。コンサートマスターや2ndのトップは指揮者に迅速に反応するのに2ndの後ろの方はどこ吹く風だったり、テンポ変わり目で管楽器はきっちり食いついていくのに弦はもっさりだったりと、少々落ち着つかない。それでもステージに入ってきた時は緊張の面持ちだった楽員さんも「シェラザード」が終わった後はにこやかに去っていたのでした。ま、いろいろ有ったけど壮大で美しい音の絵巻物のような音楽ではありました。

「悲愴」は指揮のテミルカーノフは、打点が実際の発音より結構早めに入ってしまうことが多く、そしてその棒についてくる人に合わせてどんどん先に行くとても冷たい人(振りかたは優しげなのに・・)。水先案内人は既に先に行ってしまい落ちこぼれた人と優等生が混在する中でオケメンバーは終始探り合いが続くようなな状態。そしてテミルさん、テンポチェンジの度に、なぜかテンポが変わってから更に早くしようとする(予想したテンポより遅かったのか??)。もう指揮者レベルでアンサンブルに乱れが出ている感じがする。そんな感じで終楽章まで行ってしまい、正直終わっる頃にはこっちも疲れ切っていました。楽員達も困惑の表情で、ステージ内に微妙な空気が流れている気もする。その日、アンコールで用意されていたと思われる譜面も使われることなく早々とオケを解散したのは少々残念でした。この演奏にスタンディングオベーションは無いでしょう?と思ったけど指揮者はにこやかに最後まで拍手を受けておりました。「悲愴」って結構難しい曲ですね。でも、あのスケールの大きなサウンドはテミルさんが振らないと出ないんだろうと思います。酸いも甘いも噛み分けてきたであろう温厚な紳士の音楽は、やはりなんだか魅力的に感じます。次回来日してもまた行くと思います。