劇的舞踊「カルメン」noism1,2合同公演 神奈川芸術劇場

劇的舞踊「カルメン」noism1,2合同公演 2016年2月20日(土)神奈川芸術劇場

ちょっと関心があって遠路はるばる見に行ってきたのがこれ。田舎もんには”休日おでかけパス”というJRの秘密兵器があるので、週末公演は助かります。

うかつにも演劇だとおもって見に行ったら実は舞踊で(よく考えたらそう書いてあるじゃない)、それがわかったのがこの舞台の進行役の学者役の男性以外にセリフが無いのだと理解した中盤以降と言うのはちょっと情けない話・・。舞台作品としてはオペラが有名なこの作品を身体表現として見るとどう映るのかが個人的には興味ポイント。

取りあえず客席に入ると既に学者風の演者が舞台脇の机の前に座っており、なにやら書き物をしている。開演時間になるとかかっていた蓄音機の音が大きくなってゆき、それを替えに来たお婆さんがかけたレコードがカルメン。で、その二人の掛け合いのダンスが不意に始まり実際の舞台が始まる奇抜な開幕。ストーリーはこの学者がホセから聞いた話を書き記す内容が舞台上に展開されてゆくという体で行われてゆく。音楽はビゼーのカルメンを声楽抜きの管弦楽編曲にしたもの(誰の編曲を使っているかはクレジット無し)が使われていた。舞台の印象としては、音楽とのシンクロをとても意識した振り付けで、ダンサーの動きを音楽の大きな転換部分に上手く会わせていたり、パーカッションのコミカルなサウンド(これは原作には無いイメージだと思うけど)に上手に振りを当てていたり、唯一、ダンサーが発する笑い声もスイッチを切るかのごとくカットオフしている部分があったりとか、効果的な演出が色々あって面白かった。あと、縁者が手でセットを押して舞台転換迄やるというのは、オペラじゃ見ないよなあとか、話に直接関係のない出演者(クマとか・・どうしてあれは休憩時間にも舞台につながれていたんだろう?)が出てきたり、話の進行に関係ないダンスがあったりとか(まぁ、これはオペラだって関係ないバレエが出てきたりするばあいもある訳ですが)、舞台を膨らませる為のノイズがとても上手に使われていたという事も言えるのかもしれない。

こういう舞台って、いいよなと思ったのは実はオペラとかの場合はヨーロッパで行われている舞台が、ある種オリジナル的な物として、規範的に作用すると言う側面があって、日本でオペラを行うに際しても常に本場の物を意識しながらつくらなければいけないというところがあるのだと思うのですが、この舞台は多分そんな事は考えていないだろうというところ。要するに、とても自由。今回のカルメンは、野生的を超え野獣的なカルメンという設定と、原作の小説に立ち返って物語を再構成してゆくというきわて意欲的な舞台。カルメンのミカエラに対する微妙な対応とか、カルメンやミカエラの情緒、情動表現はやはり日本人的な何物かを感じさせる演技だったけれど、それはスペインという舞台設定にとくに違和感を感じさせないのは、この舞台がある意味とても創造的な舞台だったからなのだろうか。

小説とオペラと舞踊の意味って何かとか、伝統とか創造って何かとか色々考えさせられる舞台だったけど、雨の降る中、横浜まで見に行って良かったと思える公演でもあった。

劇的舞踊『カルメン』 再演 神奈川公演

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